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知っておきたいアルミの基礎知識

知っておきたいアルミの基礎知識

簡単にアルミ鋳物を知っていただく為に、なるべく分かりやすく説明しています。
(分かりやすくするために実際の表現や使われ方とは少し違うところもあります)

知っておきたいアルミの基礎知識

鋳物とは?

金属を溶解して鋳型に流し込み、これを凝固させて製品とすることを「鋳造」といい、できた製品を「鋳物」という。
鋳物を大別すると、鉄鋳物と非鉄鋳物があり、アルモで製造しているアルミニウム合金鋳物は非鉄鋳物である。

材質による鋳物の分類

材質による鋳物の分類

溶解温度の違い

アルミニウム合金鋳物
溶解温度 650℃
注湯温度 720℃~750℃
鉄鋳物
溶解温度 1200℃
注湯温度 1300℃~1500℃

アルミ合金の砂型鋳造と金型鋳造

鋳物の特性(1)

ガスの吸収

溶解した金属は酸素、窒素、水素などのガスをよく吸収する。これは鋳造品に対して巣や介在物(酸化物)、材質をもろくするなどの鋳造不良の原因となるので、溶解中のガス吸収をできるだけ少なくし、吸収されたガスは速やかに排出することが重要である。

鋳物の特性(2)

収縮(1)

溶湯を鋳型に流し込み、常温まで冷却すると収縮し、容積が減る。これは液体収縮、凝固収縮、固体収縮の3段階がある。すなわち溶湯を鋳型に注入するとまず溶湯の表面に薄い皮ができ、しだいに厚くなって鋳型の壁から鋳物の中心に向かって凝固する。この凝固し始めるまでの液体収縮と凝固する時の凝固収縮、さらに常温までにおこる固体収縮となる。これらの進行状況を把握することは、押し湯やせきなどの鋳造方案を設計する上でとても重要なことである。

鋳物の特性(3)

収縮(2)(縮みしろ)

鋳物が凝固する時の収縮は、鉄鋳物で0.8~1%、アルミ鋳物で1~1.2%である。 このためこの収縮分を見込んだ模型または鋳型(金型)を製作しなければならない。この寸法差を縮みしろといい、たとえば100mmの長さのアルミ鋳物を作りたいとすると、102mmの模型を作ることになる。

アルミ合金鋳物の種類と特性

アルミ合金鋳物はその化学成分の配合割合によって数十種類に分類されます。また成分の割合によって機械的性質や特性も多種多様です。

アルモで鋳造している材質

アルモではアルミ合金鋳物の材質のうち、AC2B、AC4C、AC7Aの3種類をメインに鋳造しています。
特に鋳造性の良くないといわれているAC7Aはアルモがもっとも得意とする材質の一つです。

アルミ合金の化学成分表

種類 Cu Si Mg Zn Fe Mn Ni Ti Pb Sn Cr Al
AC1A 4.2~
5.0
1.2以下 0.20
以下
0.30
以下
0.50
以下
0.30
以下
0.50
以下
0.25
以下
0.05
以下
0.05
以下
0.05
以下
残部
AC1B 4.2~
5.0
0.20
以下
0.15~
0.35
0.10
以下
0.35
以下
0.10
以下
0.05
以下
0.05~
0.30
0.05
以下
0.05
以下
0.05
以下
残部
AC2A 3.0~
4.5
3.0~
4.5
0.25
以下
0.55
以下
0.8
以下
0.55
以下
0.30
以下
0.20
以下
0.15
以下
0.05
以下
0.15
以下
残部
AC2B 2.0~
4.0
5.0~
7.0
0.50
以下
1.0
以下
1.0
以下
0.50
以下
0.35
以下
0.20
以下
0.20
以下
0.10
以下
0.20
以下
残部
AC3A 0.25
以下
10.0~
13.0
0.15
以下
0.30
以下
0.8
以下
0.35
以下
0.10
以下
0.20
以下
0.10
以下
0.10
以下
0.15
以下
残部
AC4A 0.25
以下
8.0~
10.0
0.30~
0.6
0.25
以下
0.55
以下
0.30~
0.6
0.10
以下
0.20
以下
0.10
以下
0.05
以下
0.15
以下
残部
AC4B 2.0~
4.0
7.0~
10.0
0.50
以下
1.0
以下
1.0
以下
0.50
以下
0.35
以下
0.20
以下
0.20
以下
0.10
以下
0.20
以下
残部
AC4C 0.25
以下
6.5~
7.5
0.20~
0.45
0.35
以下
0.55
以下
0.35
以下
0.10
以下
0.20
以下
0.10
以下
0.05
以下
0.10
以下
残部
AC4D 1.0~
1.5
4.5~
5.5
0.40~
0.6
0.30
以下
0.6
以下
0.50
以下
0.20
以下
0.20
以下
0.10
以下
0.05
以下
0.15
以下
残部
AC5A 3.5~
4.5
0.60
以下
1.2~
1.8
0.15
以下
0.8
以下
0.35
以下
1.7~
2.3
0.20
以下
0.05
以下
0.05
以下
0.15
以下
残部
AC7A 0.10
以下
0.20
以下
3.5~
5.5
0.15
以下
0.30
以下
0.6
以下
0.05
以下
0.20
以下
0.05
以下
0.05
以下
0.15
以下
残部
AC8A 0.8~
1.3
11.0~
13.0
0.7~
1.3
0.15
以下
0.8
以下
0.15
以下
0.8~
1.5
0.20
以下
0.05
以下
0.05
以下
0.10
以下
残部
AC8B 2.0~
4.5
8.5~
10.5
0.50~
1.5
0.50
以下
1.0
以下
0.05
以下
0.10~
1.0
0.20
以下
0.10
以下
0.10
以下
0.10
以下
残部
AC8C 2.0~
4.5
8.5~
10.5
0.50~
1.5
0.50
以下
1.0
以下
0.05
以下
0.05
以下
0.20
以下
0.10
以下
0.10
以下
0.10
以下
残部
AC9A 0.50~
1.5
22~
24
0.50~
1.5
0.20
以下
0.8
以下
0.05
以下
0.50~
1.5
0.20
以下
0.10
以下
0.10
以下
0.10
以下
残部
AC9B 0.50~
1.5
18~
20
0.50~
1.5
0.20
以下
0.8
以下
0.05
以下
0.50~
1.5
0.20
以下
0.10
以下
0.10
以下
0.10
以下
残部

鋳物用アルミ合金の種類と特性

AC2A,AC2B(Al-Cu-Si系)

アルモで鋳造している合金の中で最も多い材質です

鋳造性が良く、引張り強さ、被削性、溶接性も良好である。いわゆる一般用として多く流通している材質である。
自動車のシリンダ-ヘッド、マニホ-ルド、デフキャリア、ポンプボディ、足回り部品などに多く用いられ、クランクケ-ス、バルブボディ、クラッチハウジングなどにも用いられる。

AC3A(Al-Si系)

流動性が良く、薄肉で大型鋳物、形状が複雑な鋳物に用いられる場合が多い。非熱処理型合金で、比較的強度は低く、機械的特質、被削性も劣るが溶接性、耐食性は良い。
ケース、カバー類、カーテンウォールなどに用いられる。

AC4C(Al-Si-Mg系)

アルモで鋳造している合金で最も得意としている材質です

鋳造性が非常に良く、機械的性質、切削性、耐食性も良い。伸びや耐力は劣る。
ミッションケース、クランクケース、ブレーキドラム、ギヤボックスなどに用いられ、油圧部品、ミッションケース、フライホイールハウジング、ブラケット、水冷シリンダ-ブロック、ハンドル、カーテンウォールなど多くに用いられる。

AC4B(Al-Si-Cu系)

鋳造性が良く、機械的性質、切削性、耐食性も良い。伸びはやや劣る。
クランクケース、シリンダーヘッド、マニホールド、航空機用電装部品などに広く用いられる。

AC4D(Al-Si-Mg-Cu系)

Al-Si系の熱処理硬化性を改善して、強度とじん性を高めた合金で、耐食性、耐熱性が良好。
シリンダーヘッド、シリンダーブロック、クランクケース、ギアハウジング、油圧部品などの耐圧力品に用いられる。

AC7A(Al-Mg系)

アルモで鋳造している合金で最も得意としている材質です

特に耐食性に優れた合金で、強さ、伸び、じん性、切削性ともに良好である。また陽極酸化もしやすい。但し、鋳造性は良くないため鋳物としての難易度が高い。
食料用器具、化学用部品、住宅や建築物の装飾、事務機器、船舶部品、鉄道車両の内装部品などに用いられる。

AC8A,AC8B,AC8C(Al-Si-Cu-Ni-Mg系)

熱膨張係数が小さく、耐摩耗性、耐熱性に優れる。鋳造性が良好である。
ガソリン及びディーゼルエンジン用ピストン合金として多く用いられる。

AC9A,AC9B(Al-Si-Cu-Mg-Ni系)

熱膨張係数が最も小さく、耐摩耗性、耐熱性に優れるが、鋳造性、切削性が良くない。
二輪車用空冷ピストンシリンダ、ディーゼルエンジン用ピストンなどに用いられる。

シェルモールド法の特徴

利点

シェルモールド用レジンコーテッドサンド(以下RCS)は乾態である

乾態のシェル用RCSは適切に貯蔵する限り無期限保存が可能なため、RCSを材料として購入でき、鋳物工場としてはRCS製造設備は必ずしも必要ではない。
乾態のRCSは流動性が極めて良く、金型へのRCSの充てんが容易で、複雑な形状でも容易に充てん・製造ができ、造型された鋳型の砂充てん密度が高く、滑らかな鋳はだが得られる。また、粘結剤が型に付着しにくく、型の清掃頻度が少なくてすむ。

鋳型強度が高い

鋳型の長距離輸送が可能で、中小規模鋳物工場では中子造型専門工場から鋳型を購入することができ、造型機の設備が不要になる。また鋳物工場内において中子の搬送や主型へのセット時の破損が少ない。
鋳型強度とくに熱間強度が高いため、中空中子の肉厚を薄くすることができ、材料コストの節減、中子砂の生型砂への混入量低減など生型砂品質への影響が少ない。

鋳型の強度劣化がほとんどない

鋳型を適切に保存する限り湿度などによる強度劣化がほとんどなく、強度劣化による鋳型の廃棄がほぼなくなる。

中空中子の造形が容易である

シェル鋳型独特の反転排砂方式により中空中子の造型が容易である。特に、中空中子は鋳造後の崩壊性に優れる。

生型砂へのシェル中子の混入による影響が少ない

シェル中子の中空化が容易なことに加えて、熱による崩壊量がコールドボックス中子に比して少ないため生型砂への混入量が少なく、RCS自体も生砂型の品質に及ぼす影響が小さい。

生型再生砂へのRCSへの利用が容易である

再生した生型余剰砂は、約800℃による流動焙焼法と骨材表面のスクラビングにより容易にRCS用骨材として利用できる。

欠点

金型加熱が必要である

熱硬化性樹脂を使用しているため、金型の高温加熱(約250℃~350℃)が必要で、この加熱による欠点としては下記の事項が挙げられる。
  • 安価な木型、樹脂型が使用できない
  • 加熱のためのエネルギーが必要
  • 高温加熱のために金型の変形が大きい
  • 鋳型の加熱、冷却に伴う鋳型の変形と寸法不良
  • 鋳型の「ばり」問題
  • 金型の均一加熱が困難
  • 金型の迅速交換が困難
  • ブロー跡(ブローキャンドル)が残る
  • 造型直後の鋳型が熱い
  • 造型作業による熱疲労
  • 機械及び金型の耐用年数が短い

コールドボックス鋳型に比較し造形速度がやや遅い

反転排砂方式による中空中子造形時にシェルモールド法特有のビールバック問題が生じる

注湯温度の低い軽合金鋳物での鋳型の法改正が不十分である。但し、中空中子であれば、崩壊性は他の造形法に比較して優れる

造形時の臭気問題がある

粘結剤がフェノール樹脂であるため造型時、注湯時に熱分解して不快なガスを発生させ、作業環境を悪くする。また、鋳造品においては、ガス発生による鋳造欠陥の発生がある。